技術顧問の費用は月いくら?決まる3つの要素と高い安いの見分け方

技術顧問の費用に公的な統計はなく、会社や顧問によって金額が大きく違います。費用を決める3つの要素(頻度・範囲・何をしてもらうか)と、高い安いの見分け方、契約で決めておく点を、IT歴36年の技術顧問がやさしく解説します。

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運営者・AIエンジニア / IT歴36年以上

技術顧問の費用は月いくら?決まる3つの要素と高い安いの見分け方

要約

  • 技術顧問の費用に公的な統計はありません。金額は関わる頻度、仕事の範囲、何をしてもらうかの3つでほぼ決まります。
  • 高いか安いかは、金額の大きさではなく、時間と範囲がはっきり決まっていて、経営の判断に役立つかで見分けます。
  • 契約では、書面(メールでも可)で業務の範囲・報酬・支払期日・解約の条件を決めておきます。個人の顧問に頼むときは、フリーランス法も関わります。

技術顧問の費用には、公的な統計がありません

技術顧問とは、会社の外から、技術の判断について助言をしてくれる人です。社内にエンジニアのリーダー(CTO)がいない会社が、重要な判断のときに頼ります。

「いくらかかるのか」と調べても、答えはばらばらです。公開されている他社の情報には、月に10万円台から数十万円とするものもあれば、毎日参画する場合は年に1,000万円前後とするものもあります。公的な統計はなく、どの数字も会社や顧問によって大きく違う参考値です。

つまり、他社の金額を見ても、自社が払うべき額は決まりません。大事なのは、金額が何で決まっているかを知ることです。私はCTO代行・技術顧問として、技術の判断を任される側にいます。その経験から、判断の基準をお伝えします。

費用を決めるのは「頻度・範囲・何をしてもらうか」の3つです

金額は関わり方で大きく変わります。順に見ていきましょう。

関わる頻度が増えるほど、費用は上がります

技術顧問の関わり方は、月に数時間から数十時間までと幅があります。軽いものは、月に1〜2回の定例相談です。深いものは、毎週の定例会議に加えて、チャットでいつでも質問できる形です。

頻度が上がるほど、顧問があなたの会社のために空けておく時間が増えます。だから費用も上がります。ここでいう「稼働」とは、顧問があなたの会社の仕事に使う時間のことです。

契約の形は大きく3つあります。

  • 月額固定型:毎月の稼働時間と仕事の範囲を決めて、決まった額を払います。最も一般的です。
  • スポット型:時間単価に、実際に働いた時間をかけて計算します。短い相談に向いています。
  • 成果報酬型:成果に応じて、報酬を上乗せします。

仕事の範囲がはっきりしないと、費用も読めなくなります

「技術のことを全般的に見てください」という頼み方は、範囲が広すぎます。顧問も、どこまでやればよいか決められず、金額も高めに見積もるしかなくなります。

私が1,000万円級の開発を担当したとき、やってよかったと思うことがあります。発注する側と開発する側で、やることだけでなく「やらないことのリスト」も先に合意したことです。あとから追加の要望が出ても、範囲が膨らみませんでした。顧問の契約も同じで、やらないことを先に決めると、費用が読めるようになります。

費用を抑える方法は、次の3つです。

  1. 頼む内容を「技術全般」ではなく、具体的な仕事にする
  2. 最初はスポットで相談して、相性を見てから月額契約に切り替える
  3. 質問や困りごとを事前に整理して、限られた時間を使い切る

助言をしてもらうのか、手を動かしてもらうのかで、まったく別の契約になります

ここは、勘違いしやすいところです。技術顧問の費用には、プログラムを書く作業そのものは含まれません。毎日の開発を進める人は、別に必要です。

技術顧問と社内のCTOでは、立場が違います。

技術顧問社内のCTO
契約業務委託(準委任が中心)雇用契約
指示や命令原則なしあり
決める力助言のみ役員として決めて実行する
関わり方継続的、月に数回程度フルタイム

社内にCTOを置かず、外から技術の判断を補う考え方は、CTOがいない会社の技術判断は、CTO代行という選択肢で変わるで説明しています。

技術顧問は、決める人ではなく、経営者が決めるための材料を出す人です。技術にくわしくない経営者には、むずかしい言葉を使わず、お金、危なさ、かかる期間の3点で話します。私は「コスト」「リスク」「時間」と呼んでいます。たとえば、サービスをインターネット上へ引っ越すなら、「最初の出費は少なくなるが、毎月の支払いは増える。そのかわり、トラブルのときに対応しやすくなる」と伝えます。顧問料で買っているのは、こうした「決めるための材料」です。作業そのものではありません。

顧問の費用が高いか安いかは、この5つで見分けます

金額だけを見ても、高いか安いかは決まりません。顧問を頼まれる側として、私が「ここを見れば分かる」と考える点をお伝えします。

1. 時間と範囲が、数字と文字で決まっているか

「月に何時間、何をするか」が書面で決まっていれば、費用の根拠が見えます。ここがあいまいなまま始めると、あとで「聞いていた話と違う」となります。初期のころの私は、想定するアクセス数や障害のときの対応の水準をはっきりさせないまま契約し、稼働のあとにトラブルになりました。それ以来、条件は必ず数字で文書にしています。

2. 高い安いの理由を、中身で説明できるか

極端に安い見積もりは、テストや運用・保守の作業が抜けていることが多いです。逆に高すぎる見積もりは、システムに何をさせたいかという条件(要件)がはっきりしないまま、念のための上乗せが入っていることが多いです。顧問の費用も、開発会社の見積もりも同じ見方ができます。設計・作る作業・テスト・保守の割合が妥当かを見れば、理由が分かります。見積もりの内訳の見方は、システム開発の見積もりは妥当か、工数の内訳から確かめる方法で説明しています。

3. 安さだけで選んでいないか

20年ほど前に、知人の起業家が、ビジネスマッチングのサイトを安い制作費で作れたと喜んでいました。私が見ると、セキュリティの穴がいくつも見つかったのです。結局、直すための費用がかかり、最初から正しく作るより高くつきました。外注先を選ぶときも、私は価格より「コミュニケーションの質」を重く見ています。安さだけで選ぶと、あとの対応で結局高くつくからです。

4. 顧問の費用が、ほかの費用を減らしているか

あるプロジェクトで、必要以上に大きく作られていたサーバーの構成を、実際のアクセス記録をもとに見直しました。すると、毎月の費用がおよそ半分になりました。「不安だから多めに」という感覚をやめて、測った数字で決めたからです。顧問料が高いか安いかは、顧問のおかげで減った費用や防げた損と並べて考えると、判断しやすくなります。

5. 担当者が変わっても、止まらない仕組みになっているか

日本でASP事業を始めたとき、はやりの新しい技術ではなく、古くから使われている技術を選びました。理由は、解説も多く、扱える人を採用しやすかったからです。担当者が入れ替わっても止まらず、数年以上運用したあとに事業を売却できました。事業を譲るときに技術面で見られたのは、担当者がいなくなっても事業が回るかでした。

CTOがいない会社では、システムが分かる人が1人しかおらず、その人が辞めたとたんに誰も触れなくなるケースを、私は何度も見ています。顧問に払う費用は、こうした状態を避けるための費用でもあります。

契約で決めておくことは、書面とお金と終わり方です

技術顧問の契約は、多くの場合「準委任契約」です。これは、できあがったものではなく、専門家として仕事をすること自体にお金を払う契約です。IPAが公開しているアジャイル開発のモデル契約書も、この準委任を前提にしています。開発の途中で、機能の追加や優先順位の変更が出てくるためです。

契約書には、次の8つを入れましょう。

  1. 業務の範囲
  2. 報酬(金額と支払いの条件)
  3. 契約の期間、更新、解約の条件
  4. 稼働する時間と、報告の義務
  5. 秘密保持(会社の秘密を外にもらさない約束。NDAとも呼びます)
  6. 知的財産権の帰属(作ったものの権利が誰のものか)
  7. 損害賠償
  8. 反社会的勢力の排除

個人の顧問と契約するなら、フリーランス法も重要です

顧問が、従業員を雇っていない個人(または1人だけの法人)のときは、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が関わります。2024年11月1日に始まった法律です。公正取引委員会のパンフレットによると、押さえる点は次のとおりです。

  • 業務を頼んだら直ちに、取引の条件を書面かメールなどで示す必要があります。電話などの口頭だけでは認められません。
  • 書面は「契約書」という名前でなくてかまいません。発注書やメールでも大丈夫です。
  • 示す項目には、仕事の内容、報酬の額、支払期日などが入ります。
  • 報酬の支払期日は、仕事を受け取った日から60日以内で、できるだけ短く決めます。
  • この明示と支払期日のルールは、契約の期間が短くても守る必要があります。

もう1つ、気をつけることがあります。顧問に、社員のように細かく指示を出して管理する形になると、契約の名前にかかわらず問題になることがあります。実質的に労働者と判断されると、フリーランス法ではなく労働関係の法律が適用されるのです。顧問には、助言をお願いする立場を守るのが基本です。個別の判断が必要なときは、弁護士などの専門家に確認してください。

よくある質問

Q: 月額固定とスポット、どちらで始めるのがよいですか?

最初はスポットで相談して、相性を見るのがおすすめです。相性がよく、続けて頼みたくなったら、月額固定に切り替えます。スポットは「時間単価×働いた時間」で計算するため、短い相談で様子を見るのに向いています。

Q: 技術顧問に、プログラムを書く作業もお願いできますか?

技術顧問の費用には、作業そのものは入りません。日々の開発を進める人は、別に必要です。顧問に作業まで頼みたいときは、助言とは別の仕事として、範囲と報酬を決めておきましょう。

Q: 個人の技術顧問と契約するとき、契約書は必ず必要ですか?

「契約書」という名前の書類は必須ではありません。ただし、業務を頼んだら直ちに、仕事の内容や報酬の額、支払期日などの条件を書面かメールなどで示す必要があります。口頭だけでは足りません。

まとめ:費用は金額でなく、中身で判断してください

技術顧問の費用に、決まった相場はありません。頻度、範囲、何をしてもらうかを決めれば、自社に合った金額が見えてきます。そのうえで、時間と範囲が文書になっているか、中身の理由を説明できるか、担当者が変わっても止まらないかを確かめてください。

契約は、業務の範囲・報酬・支払期日・解約の条件を、書面やメールで残しておけば安心です。

PH Tech AIは、社内に技術の責任者がいない中小企業やスタートアップを、CTO代行・技術顧問として支えています。「自社の場合、どのくらい関わってもらえばいいのか」「いま届いている見積もりは妥当か」といったご相談を、無料相談で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。サービスの内容と料金は、サービスのページ(https://www.phtechai.com/services)をご覧ください。

参考・出典

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運営者 / AIエンジニア(IT歴36年以上)

  • ●IT歴36年以上
  • ●IBM認定 生成AIエンジニア
  • ●神田昌典氏 認定ライセンシー
  • ●中小企業・スタートアップのCTO代行・技術顧問

IT歴36年以上の運営者です。長年の実務経験と最新の生成AIを掛け合わせ、中小企業・スタートアップが技術の意思決定に自信を持てるよう、現場目線で記事を書いています。

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