構造化データとベクトルDBを区別せず、AIをうまく使えていなかった話
2026年6月ごろ、知人の起業家から「AIで情報を集めてデータベースに保存しているが、思うように活用できていない」という相談を受け、保存設計を見直して解決した経験です。

重要ポイント
- 時期: 2026年6月ごろ
- 相談者: 知人の起業家
- 課題: AIで集めた情報の活用がうまくいかない
- 提案: 構造化データ/ベクトルDBの分離とRAG・キーワード・ハイブリッド検索の使い分け
Q. どんな相談だったのですか?
A. AIで集めたあらゆる種類の情報を、区別なく同じ場所に保存していました。金額や日付、カテゴリーのようにきっちり型が決まっている情報(構造化データ)と、文章のように意味で探したい情報(ベクトルデータベース向き)を、同じやり方で保存し、同じやり方で探そうとしていたのです。
Q. 何が問題だったのですか?
A. これでは、単純な絞り込み検索をしたいときも、意味の近い文章を探したいときも、どちらも中途半端な結果しか返ってきません。データの性質を区別せずに扱うと、どちらの用途にも最適化されない、という典型的な落とし穴です。
Q. どう解決したのですか?
A. Supabaseでの保存設計を見直し、構造化データはテーブルに、文章のような情報はベクトルデータベースに、それぞれ適した形で持つように整理しました。そのうえで、はっきりした条件で絞り込みたいときはキーワード検索、意味の近さで探したいときはベクトル検索によるRAG、両方の性質が混じる場面ではハイブリッド検索、というように目的に応じて使い分ける方法を提案しました。
Q. この整理をしたあと、変化はありましたか?
A. 求めている情報にたどり着くまでの精度が上がりました。データの持ち方を最初に整理するだけで、あとの検索や活用の質が大きく変わることを、あらためて実感した案件でした。
Q. こうした相談は他にも多いのですか?
A. 多いです。「AIでできると聞いたのに、実際にはできなかった」という相談の原因の多くは、AIツールそのものの性能不足ではなく、「何を、どこまでAIにやらせるのか」「情報をどう整理して持たせるか」という設計が曖昧なまま導入してしまっていることです。
Q. この保存設計の考え方は、他の業種の企業にも当てはまりますか?
A. 当てはまります。業種を問わず、AIで情報を集めて活用したい企業のほとんどが、データの性質を区別せずに保存してしまっています。最初にこの整理をするかどうかで、その後のAI活用の伸びしろが大きく変わります。
運営者メモ
CTO代行として関わるときは、まず「今のデータのどこが構造化データで、どこが意味検索向きか」「業務のどの部分を、どこまでAIに任せるのか」を明確に言語化するところから始めます。
AIの性能そのものより、データの整理という地味な工程のほうが、実際の使い勝手を左右することが多いというのが、この案件を通じての実感です。
データの整理という地味な工程が、AI活用の成果を大きく左右するという事実は、もっと知られてよいと感じています。

